水も電気も必要です。

 工房開設する上での土地の条件を書きましたが、ウチのように工房兼住宅となるとそこに住むのですから、仕事ができれば良いという訳にはいきません。我が家は20~30年ぐらい廃屋でしたが、人の住まない期間が長ければ長いほど、当然家屋の傷みは激しいのです。畳が敷きっ放しの部屋や、雨漏りのしている部屋の床は、ほぼ腐っていると考えたほうが良いと思います。我が家も足を踏み入れるなり、畳ごと床を踏み抜きました。

 このような家の修繕を他人に頼むと高いので、これから木工をやろうという人は当然、自分で直すことになるでしょう。ところがこの修繕期間を、私は考えていなかったのです。結局半年ぐらいかかり、その間、母屋は床もなく寝泊りできないので、機械のまだ入っていない工場に一人、テントを張って過ごしていました。その頃はアルバイトもしていたので、テントからスラックスと革靴をはいて出社と、なかなか味わえない日常を送りました。

 そして人が暮らす上で重要な「水」についても、考えが甘かったようです。廃屋を中心に家探しをしていたので、人が過去に住んでいたと言うことは、当たり前に水があると思っていました。しかし違うのです。田舎は上水道が整備されていない地域が多いので、水は井戸か、地下水をボーリングして汲み上げるのが一般的のようです。また沢水をひいたり、近所から「もらい水」というのもあるようです。

 この地に来た当初、この家が過去に使っていた井戸を覗くと、地面に深く穴を掘っただけの、内壁が土むき出しという素掘りの井戸でした。長いこと放置された井戸は内壁も崩れ、そばに立っていることにも危険を感じました。しかしこの井戸を使わなければ、我が家には水が無いことになります。残された道は地下水の汲み上げか「もらい水」となり、悩んだあげくにボーリングすることにしました。参考までに、この費用は1メートル約1万円ほどかかります。大体この地域の平均が、配管含めて100万円ぐらいです。

 つまり人気の無い田舎暮らしに憧れて、山に土地を買うと、高い土地は水が出にくいのでボーリングの深さが増します。知り合いに200メートル掘った人がいます。(ウチは60メートルぐらいです。)また公道に隣接していない土地を買うと、私道を造る事にもなります。電柱も自費で立てなければいけないようです。その点農村で土地を探せば、木工機械を動かすのに必要な、200ボルトの電気も大抵来ているので安心です。

 次回は、工房開設時にあったらいいなと思う道具について、書きたいと思います。
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# by mokkoubou_yabuki | 2005-07-07 18:29 | 工房設立まで

調理用の木のおへら

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 最近つくった木のおへらです。白っぽい方がイチョウの木で、色の濃い方はホオの木です。長さ30センチ幅6センチぐらいのサイズです。カレーやシチューのとき、深めの鍋で野菜を炒めたり、中華鍋で野菜炒めを作るときに活躍すると思います。

 これは、以前家具を納品したお宅から追加注文を頂き、その打ち合わせの際に奥様が、「調理用のへらとかは作れませんか。」と言われたので、つくってみました。前にも自宅用には作ったことがあったのですが、その時はウチで使うのだからと首をかなり細くし、スタイリッシュにしました。見た目はきれいだったのですが、台所用品としての「用」には徹しきれずに、1年待たずして首が折れてしまいました。

 今回は人の手に渡ることが前提の制作ですので、木は狂いにくく粘りのある、そして木目がきれいなイチョウとホオの木を選びました。全体の強度を増しつつ、ヤボったくならないよう注意しながら削りました。

 価格は800円から1000円ぐらいを予定しています。これは家具づくりで出た端材で制作しているため、材料費を含まない価格設定にしてあります。そのため、ある時にはあるという品物で、木もその時々で色々な種類になりそうです。

(新品時は人体に安全な植物性のオイルが塗ってありますが、時間とともに効果が弱まり、油やルーなどで染まります。ある程度消耗品とお考えください。)
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# by mokkoubou_yabuki | 2005-07-06 18:27 | 木工

 修行を終えるなり学校を卒業するなりして、「さあ独立!」というときに必要なものは、やはり「お金」と「場所」だと思います。開業資金の集め方は貯金をはたくか、借金するかしか無いと思うので、ここでは場所(土地)について書きたいと思います。

 まず工房を開くにあたり、どういう物件を探していたか列挙してみたいと思います。
地価が安い、広さは300坪以上、住居とは別に20畳ほどの作業スペース、傾斜地はダメ、4トントラックが通れる道に隣接している、畑がある、高速のインターが近い、空港が近い、1時間程度で街に着く、そこそこ田舎である、と色々な条件を考えていました。

 木工は材木を乾燥させたりするために、かなり広い土地が必要で、なおかつ材木屋さんのトラックが入れないと大変です。当たり前ですが、土地は安い方が良いに決まっています。そして傾斜地だと、重い無垢の家具の搬出には手間取ります。これ以外の条件は妥協できるだけ妥協しました。今のこの土地は、あちらこちら20ヶ所程探して見つけました。もしかすると、土地探しが一番厄介かもしれません。とくに身内のコネなどがないと、田舎の土地の売買は、話が進みにくいと思います。私達の場合は、村会議員さんを人づてに紹介してもらい、さらに他の人にも間に入ってもらい、土地の売買が成立しました。土地探しから購入まで1年ぐらいかかっています。

 ここまで購入することを書いてきましたが、実は当初、家賃を払って借りるつもりで場所を探していました。しかし田舎は地区の行事などが多いこともあり、家を買い取って住み着くようでなければ信用されにくく、地域に溶け込みにくい面があります。また住むにしても、工房を開くにしても、かなり修繕したり、工事をしたりとあったので思い切って購入に踏み切りました。

 しかし誰しも、すぐに気に入った土地が見つかるとは限らないので、そんな時は希望する地域のそばに、アパートを借りたりするのも一つの手かと思います。「時間の許す限り、じっくりと納得するまで探す」ぐらいの気持ちの方がいいかもしれません。

 そして現在、工房のあるここの土地は、広さが500坪ぐらい、作業スペースが20畳ぐらい、良く行くスーパーまで20キロぐらいと、かなりの田舎です。しかし不便さにもすぐに慣れ、住めば都といったところです。
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# by mokkoubou_yabuki | 2005-07-05 18:26 | 工房設立まで