廃屋だった我が家

 私達家族は、廃屋だった家を修繕して住んでいるのですが、ここに来た当時の家はかなり荒れていました。天井は落ち、床は腐り、裏山のヤブは今にも家を飲み込もうとする勢いなのです。日々の作業は自然との共存というより、もはや「格闘」といった方がしっくり当てはまる感じで、そんななか草刈機やチェンソーを振り回していました。

 ヤブだらけの外回りのほかに、室内の修繕にも同時に手を付けていましたが、家のゆがみからか建具はどれも動かず、外すのに苦労しました。よく家の購入時には、建具のすき間をチェクすると家のゆがみが分かると言われますが、廃屋には当てはまりません。柱と建具のすき間は平気で2センチぐらい開いている家も多いですし、台所に竹が生えている家もありました。さすがにこの家は竹は生えていませんでしたが、野生のテンは棲んでいました。

 こうして「格闘」を繰り返し、半年ほどかけて直したわけですが、やはり廃屋選びのポイントは自分の技量を考えて選ぶ事のようです。私は内装の仕事の経験はありましたが、大工さんのように家は建てられませんので、柱や梁がしっかりしている物件を探しました。

 しかし何とか一段落した今、ふと思うのは、手に負えないような家を、色々調べながら時間をかけて直すのも楽しいだろうなとか、自分で建てたらもっと喜びも大きいだろうなとか、少しやっかいなことなのでした。
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by mokkoubou_yabuki | 2005-07-26 15:46 | 工房設立まで | Comments(0)

b0126098_1530339.jpg 今回は田舎暮らしに必要であろう道具について書いていきます。

 私が田舎に来てまず始めたこと、それは草刈でした。人の手が入らなくなった土地は至所すごい藪となり、庭木が一体何本あるのか分からないほどでした。まるで緑の山がそこにあるような感じです。それをカマで刈っていたらとても終らないので、草刈機が活躍します。カマの何倍ものスピードで作業がはかどり、細い木もなんなく切ってしまいます。田舎に住む限り、草刈機は必要だと思います。

 そしてチェンソーです。これはあると便利と言うもので、私も最初は持っていませんでした。ここに来てしばらくは、ノコギリで木を切っていたのです。しかしそんなある日、近所のおじいちゃんがチェンソーを持ってやって来て、「これは、少し直せば使えるから・・・あげる。」と、置いていってくれました。使ってみるとノコギリより断然早く、今では薪作りにも重宝しています。これだけではなく、ここの村の人々は情が深く、今でもよく野菜を頂きます。余談ですが、村に来てから4年経ちますが、最初の2年間は一度もお米を買わず、頂き物で生活していました。

 道具について細かく書くとキリが無いのですが、最後にもう一つ、やはり一輪車(手押し車)は欠かせません。土を運んだり、野菜を運んだり、木を運んだり、生活の様々な場面で必要です。

 とにかく田舎では、街では使うことの無い道具がかなり必要で、これらの購入にも結構な金額を要しました。
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by mokkoubou_yabuki | 2005-07-12 15:28 | 工房設立まで | Comments(0)

水も電気も必要です。

 工房開設する上での土地の条件を書きましたが、ウチのように工房兼住宅となるとそこに住むのですから、仕事ができれば良いという訳にはいきません。我が家は20~30年ぐらい廃屋でしたが、人の住まない期間が長ければ長いほど、当然家屋の傷みは激しいのです。畳が敷きっ放しの部屋や、雨漏りのしている部屋の床は、ほぼ腐っていると考えたほうが良いと思います。我が家も足を踏み入れるなり、畳ごと床を踏み抜きました。

 このような家の修繕を他人に頼むと高いので、これから木工をやろうという人は当然、自分で直すことになるでしょう。ところがこの修繕期間を、私は考えていなかったのです。結局半年ぐらいかかり、その間、母屋は床もなく寝泊りできないので、機械のまだ入っていない工場に一人、テントを張って過ごしていました。その頃はアルバイトもしていたので、テントからスラックスと革靴をはいて出社と、なかなか味わえない日常を送りました。

 そして人が暮らす上で重要な「水」についても、考えが甘かったようです。廃屋を中心に家探しをしていたので、人が過去に住んでいたと言うことは、当たり前に水があると思っていました。しかし違うのです。田舎は上水道が整備されていない地域が多いので、水は井戸か、地下水をボーリングして汲み上げるのが一般的のようです。また沢水をひいたり、近所から「もらい水」というのもあるようです。

 この地に来た当初、この家が過去に使っていた井戸を覗くと、地面に深く穴を掘っただけの、内壁が土むき出しという素掘りの井戸でした。長いこと放置された井戸は内壁も崩れ、そばに立っていることにも危険を感じました。しかしこの井戸を使わなければ、我が家には水が無いことになります。残された道は地下水の汲み上げか「もらい水」となり、悩んだあげくにボーリングすることにしました。参考までに、この費用は1メートル約1万円ほどかかります。大体この地域の平均が、配管含めて100万円ぐらいです。

 つまり人気の無い田舎暮らしに憧れて、山に土地を買うと、高い土地は水が出にくいのでボーリングの深さが増します。知り合いに200メートル掘った人がいます。(ウチは60メートルぐらいです。)また公道に隣接していない土地を買うと、私道を造る事にもなります。電柱も自費で立てなければいけないようです。その点農村で土地を探せば、木工機械を動かすのに必要な、200ボルトの電気も大抵来ているので安心です。

 次回は、工房開設時にあったらいいなと思う道具について、書きたいと思います。
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by mokkoubou_yabuki | 2005-07-07 18:29 | 工房設立まで | Comments(0)

 修行を終えるなり学校を卒業するなりして、「さあ独立!」というときに必要なものは、やはり「お金」と「場所」だと思います。開業資金の集め方は貯金をはたくか、借金するかしか無いと思うので、ここでは場所(土地)について書きたいと思います。

 まず工房を開くにあたり、どういう物件を探していたか列挙してみたいと思います。
地価が安い、広さは300坪以上、住居とは別に20畳ほどの作業スペース、傾斜地はダメ、4トントラックが通れる道に隣接している、畑がある、高速のインターが近い、空港が近い、1時間程度で街に着く、そこそこ田舎である、と色々な条件を考えていました。

 木工は材木を乾燥させたりするために、かなり広い土地が必要で、なおかつ材木屋さんのトラックが入れないと大変です。当たり前ですが、土地は安い方が良いに決まっています。そして傾斜地だと、重い無垢の家具の搬出には手間取ります。これ以外の条件は妥協できるだけ妥協しました。今のこの土地は、あちらこちら20ヶ所程探して見つけました。もしかすると、土地探しが一番厄介かもしれません。とくに身内のコネなどがないと、田舎の土地の売買は、話が進みにくいと思います。私達の場合は、村会議員さんを人づてに紹介してもらい、さらに他の人にも間に入ってもらい、土地の売買が成立しました。土地探しから購入まで1年ぐらいかかっています。

 ここまで購入することを書いてきましたが、実は当初、家賃を払って借りるつもりで場所を探していました。しかし田舎は地区の行事などが多いこともあり、家を買い取って住み着くようでなければ信用されにくく、地域に溶け込みにくい面があります。また住むにしても、工房を開くにしても、かなり修繕したり、工事をしたりとあったので思い切って購入に踏み切りました。

 しかし誰しも、すぐに気に入った土地が見つかるとは限らないので、そんな時は希望する地域のそばに、アパートを借りたりするのも一つの手かと思います。「時間の許す限り、じっくりと納得するまで探す」ぐらいの気持ちの方がいいかもしれません。

 そして現在、工房のあるここの土地は、広さが500坪ぐらい、作業スペースが20畳ぐらい、良く行くスーパーまで20キロぐらいと、かなりの田舎です。しかし不便さにもすぐに慣れ、住めば都といったところです。
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by mokkoubou_yabuki | 2005-07-05 18:26 | 工房設立まで | Comments(0)

 家具づくりを仕事にしようとする時に、何から始めるかは人それぞれですが、私はまず木工を学べる場所を探しました。今周りを見渡すと、様々な経歴の人達がいます。その多くの人が、一度は他人の下について働いた経験があるようです。こうしなければいけないという類いの事ではありませんが、他人の下で働くことが、結局独立への近道を歩むのかもしれません。

 私の場合は、
店舗内装、造作家具会社のアルバイト→飛騨国際工芸学園→家具工房に弟子入り→高等専門校竹工芸科→現在に至る、となっています。このうちの内装の会社と、家具工房が他人の下で働いた時期です。他人の下で働くメリットの一番は、技術が身につくことだと思いますが、同じくらい為になったことは、そこにいる人数分だけ作り方があり、それを間近で見ることができる、という点です。自分と違う作り方(考え方)はとても参考になります。それと最後に、作るスピードが身につくということもあります。普通家具工房というと、ゆっくり作っているように思われますが、それではやはり趣味の領域から抜け出せません。時間をかけて良いならば、手先の器用な人は、見本を見ながら同じ様に作れるかもしれません。(売らないという事が前提の話ですが。)

 これ以外のパターンは、職訓の木工科→家具工房、専門学校の木工科→家具工房、または、学校など行かずにいきなり家具工房という人もいます。最後のいきなり家具工房というのは、知識も経験も無い人を雇うので、受け入れる側の工房がかなり限定されると思います。

 また他にも学校を出たと同時に独立というパターンもあり、知り合いにも結構います。このように色々な選択肢があると思いますが、どれが良いかは人それぞれ、入れてくれる工房があるかは運しだい、みたいなところがあるのも現実です。
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by mokkoubou_yabuki | 2005-07-02 18:22 | 工房設立まで | Comments(0)

工房設立まで

 木工に興味を持ち、木工を仕事にしようと考えたとき、多くの人が何から始めればいいのかと疑問を持つのではないでしょうか。ちなみに私がそうでした。その疑問を解決する手助けが少しでもできたらと思い、自分の例を参考に書いていきたいと思います。工房設立までの経緯は人それぞれで、目指す木工も千差万別ですが、「木工房矢吹」の場合はこうなんだな、ぐらいの気持ちで読んでください。

 「工房設立まで」のカテゴリーでこれから書き進めていこうと思っている項目は、木工との出会いから工房開設時にあったら便利であろう道具や機械の話まで、多岐におよび書いていきます。特に道具や機械は工房で使用しているものの良い点や悪い点など、時に写真を交えて掲載していく予定です。

 とにかく答えなんか無いようなことですが、次回より始めていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
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by mokkoubou_yabuki | 2005-06-30 17:39 | 工房設立まで | Comments(0)